憲法改正について

最近の世論調査では、「憲法改正必要なし」と考える国民が多い。

しかし、
現政権が参議院選で勝利し、
その勢いでPKOを南スーダンに派遣し、
「非戦闘地域が戦闘地域になって自衛隊が抜けられなくなり」
「不十分な訓練、武器、不戦ルールに縛られて自衛隊員が死傷」という事態になり、
国民が動揺している中で総理が堂々と「だから、やっぱり憲法を改正して軍をちゃんとしなければいけないでしょ」
と言えば、憲法改正に同意する国民が増えるだろう。

 先の安保法案の国会審議では、「不十分な訓練、武器、不戦ルールのままの自衛隊を海外の紛争地域に送ってはいけない(危険が明らか)」と野党がさんざん追及しているが、自民党は、海外派遣による自衛隊員の犠牲を承知の上で、それを憲法改正の踏み台にする意図をもって、安保法を通した。

 憲法改正については、9条や緊急事態条項が議論になることが多い(もちろん大問題だ)が、自民党の憲法改正草案を見ると、それ以上にとんでもなく異常なことに気づく。

自民党憲法:日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。

 この条文に書かれていることは、もちろん良いことばかりだし、できる範囲で皆がそれを実行するべきだと思うが、憲法に書かれたら、それが国民の義務になってしまう。

「国と郷土を守ること」が義務になり、新たに「民法」に並ぶ「伝統法」が制定され、日本社会の細部にわたって新たな法規制が作られるだろう。

「郷土」や「和」「家族」が憲法に書かれれば、それに反することは「違憲」となり、「離婚はけしからん」「子は親の面倒を見ろ」、「町内会に不参加」「祭りに不参加」「消防団に不参加」に罰則(懲役または罰金)。祭り、神道、仏教などの伝統や、家父長制度などの慣習を「守る」ことが義務化されるだろう。

国を守ることが国民の義務なのだから、もう「徴兵制」がどうとかいう必要はない。政令一つで誰でも徴兵される。なにしろ国家形成に協力しないのは「違憲」なのだから。

自民党憲法:我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。

働かない若者、結婚しない男女、同性愛、両性愛、熟年離婚・・・「昔はこんなことが無くて良かった。自由を野放しにしてはいけない」と思う人は、「自由と規律」という美しい言葉に酔うだろう。

今の日本国憲法では「思想・信教、表現、学問、職業選択、財産、奴隷的拘束の禁止」などの自由が保証されている。しかし自民党憲法では、これらの自由のうち、社会の規律を乱す恐れのある自由は制限される。

何が社会の規律・公共の福祉であるかは、時の政権の都合次第で変えられる。政権にとって都合の悪いことは全て違法になる。一番良い例が北朝鮮だ。ロシア、中国も、政権の都合のいいように、国民の自由が制限されている。

今の日本には「働かない自由」もあるが、「我々は・・・経済活動を通じて国を成長させる」と憲法に書かれたら、働かないことは違憲と言われるだろう。しかし、そもそも我々は「国を成長させる」ために生きるのか?

自民党憲法:日本国民は、よき伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

憲法はその国の根本秩序を規定する法律で、国民が守らなければならない制約だ。自民党憲法では、「日本国民は何のために生きるか‐国家を子孫に継承する(国家の存続)のためでしょ」となる。びっくりポンですね!

総理はよく「私が国の最高責任者(実際は行政府の責任者でしかない、国権の最高機関は国会)」「私には国を守る責任がある」と言うが、総理の頭では、国民一人ひとりではなく、国家の存続こそが大事なようだ。

総理が中近東で「イスラム国を食い止めるために2億ドル出す」とスピーチしたことでイスラム国の反発を招き、後藤健二さんが殺害された。昨年12月にジャーナリストの安田純平さんがシリアで武装勢力に拘束され、いまだ解放されていないが、政府は「国民を守る」という意味で何か動いているのだろうか。

総理が「我が国の平和と安全のため」と言うとき、その中に「日本国民」は含まれているのだろうか。

>>自民党憲法改正草案PDF

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