憲法と戦争

今の日本国憲法は、「先の大戦が天皇主権で国民の命が軽視された」「政府の行為によって戦争が行われた」ことを深く反省し、それを繰り返さないために「(天皇や政府ではなく)国民主権」「武力は持たない、戦争はしない」と決めたもの。「いずれの国家も、他国を無視してはならない」とあるのは、日本が太平洋戦争でアジア諸国民二千万人以上の命を奪ったことを反省し、これからは他国のことも考えましょう、という意味だ。決して「他国が軍隊を出しているから日本も出しましょう」という話ではない。

 一方、自民党憲法草案は:
我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。

自民党憲法には、先の戦争への反省が一言もない。政権がめざす「平和主義」は、「同盟国である米軍と連携しながら国際社会の平和と安定に積極的に軍事的にも関与していく」というもの。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、その他民主化の名のもとにアメリカが武力介入や侵略した数々の戦争に、日本は戦後、軍を投入してこなかったが、これからは米軍の軍事同盟国として積極的に参加する、というのだ。

戦後の日本はなにをやってきたか。日本政府はかつてアフガニスタン戦争の際、敵味方のどちらにもつかない立場で、「武装解除して民主的な選挙をしなさい。そうでないと日本は数千億ドルの支援金をあげないよ」という交渉を粘り強くやり、複雑な利害がからむ武装勢力たちの武装解除を成功させた。同じことをアメリカがイラクでやって失敗した。仲介者には「敵味方どちらにもつかない立場」ということが絶対必要なのだ。「日本は武力行使を放棄した国」ということが紛争地の人々に理解され、欧米各国が武装してくる場面に自衛隊が丸腰で来る、その危うさが、逆に現地の人たちの信頼を得たのだ。

紛争に疲れた国々に調停を呼びかけ、公平な采配で武装解除し、支援金で復興を後押しする、自衛隊と国民の税金をそのような活動に使うことが、日本にしかできない国際貢献であり、ひいては日本国の安全につながる、これは憲法9条を守り強化すべきだ、と考える人たちの防衛戦略だ。確かに非武装は危険だ、しかし米国のような最強の軍事力から平和が生まれなかったこと、非武装の日本から平和が生まれたこと、この意味をよく考えたい。

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anporonten

Author:anporonten
秋田県横手市在住の一市民です。
私は、「平和安全法制」の法案に関する国会の審議記録を精査し、論点と問題点を整理し、「安保法案の論点整理」のホームページで発表しました。その後、2015年度補正予算案の審議、2016年度通常国会の審議と追跡を続けています。

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