「帰還兵はなぜ自殺するか」に関連する国会審議(共産党、志位議員)

国会議事録「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(平成27年5月27日)より抜粋

アフガニスタン戦争に際してのテロ特措法、イラク戦争に際してのイラク特措法に基づいて派遣された自衛官は、現地では一人も死亡していない。戦士も自殺もゼロ。
しかし、帰国後に、54名が自殺した。

○真部政府参考人
平成26年度末現在、イラク特措法に基づきまして派遣された経歴のある自衛官のうち、陸上自衛官が21名、航空自衛官が8名、計29名、それから、テロ特措法に基づいて派遣された経歴のある自衛官のうち、海上自衛官が25名、以上、足し合わせますと54名が帰国後の自殺によって亡くなられております。
(コメント:日本国憲法では海外派兵が禁止されているが、政府は「解釈」で派兵を可能と言い、「イラク特措法」「テロ特措法」という法律を作って、自衛隊を海外に派遣した。)

○志位(共産党)委員:
こういう、自衛官がみずから命を絶つという深刻な事態が起こっている、これを、自衛隊の活動領域を広げたらもっと深刻になるんじゃないかと(総理と大臣に)聞いたんですが、全くお答えがありませんでした。

米国には、イラク戦争とアフガニスタン戦争の帰還兵が200万人以上おります。うち60万人が、戦地で経験した戦闘や恐怖から、心的外傷後ストレス障害、PTSDなどを患っております。そして、米国政府によると、一日平均22人、年間8千人もの帰還兵が自殺をしており、米国の一大社会問題となっております。イラクとアフガンの戦場での戦死者よりも年間の自殺者が上回るという異常事態であります。帰還兵の支援は、ワシントン・ポスト紙では、米国の次の戦争と呼びました。昨年12月、ことし2月の二度にわたって兵士自殺防止法が制定されているほど事態は深刻になっております。

PTSDの原因は、戦場で命を奪われる恐怖とともに、戦場で相手の命を奪ったこと、自爆テロだと判断し発砲したところ、無辜の民間人を殺してしまったなどへの心の痛み、苦しみによるものが多く、深刻だと報じられております。
(コメント:日本は「後方支援」だし「戦闘地ではないところで活動する」からリスクはない、と国会で何度も言われました。しかし、後方支援のための移動中に路肩爆弾や地雷に被弾することもあります。敵か味方かわからない現地の人が怪しい行動(すべてがそう見えてくるだろう)をしたら、自己防衛のために「武器を使用」してもよいことになっており、結果的に、武器で現地の人を攻撃することもあります。敵の子供、女性、お年寄りが自衛隊員を攻撃(鉄砲や爆弾で)してきたら、自衛のために、「殺られる前に殺る」のは当然ですが、その記憶がトラウマとなることもあるでしょう。どんな正当化ができるにせよ、実践で「人を殺した」記憶は、後の人生の重荷となるにちがいありません。)

こうした苦しみを日本の若者にも押しつけようというんですか。これを聞いているんです。日本の若者を戦地に派兵し、殺し殺される戦闘をさせる、それがもたらす心身への深刻な傷跡ははかり知れないものですよ。これを聞いているんです。この認識はどうでしょうか。

○中谷国務大臣
まず、派遣する際における安全につきましての対応は、さらに大きくしていかなければならないと思います。
委員が御指摘のとおり、海外派遣は非常に過酷な環境で行われておりますので、こういった精神的な負担等につきましては、クールダウンと申しますけれども、さまざまな措置を講じまして、隊員のメンタルヘルスケアの機会を充実させていきたいと思います。
(参考:「クールダウン」という精神医学的療法。。イラクから帰還する隊員に対して、隊員が帰国する直前、隣国のクウェートにおいて、心理カウンセラーによるグループ・カウンセリングを実施したもの。)
(コメント:中谷大臣は、(報告書「防衛省・自衛隊のメンタルヘルス対策」を読んで)事情を全部理解したうえで「それでもいいんだよ」という答弁か。戦争に戦士や自殺はつきもの、統計上の問題、という程度の認識か?
結局、海外派兵、武器使用を認めた時点で、「死」は想定内、統計上の数字の問題にすりかわる、管理者の頭の中では。
そして国民は「大臣が大丈夫、と言うから大丈夫なんだろう・・」と傍観するのか・・?)


○志位委員
私は、米国の実態を引いて、この深刻な事態を示しました。戦争で真っ先に犠牲にされるのは未来ある若者ですよ。若者を戦場に送るわけにいかないということを強く言っておきたいと思います。

参考情報:
◆毎日新聞 派遣自衛隊員 56人自殺 精神疾患原因、25% 4人は公務災害
◆帰還隊員らが語ったPTSDの恐怖
・安保法制が施行され、南スーダンPKOで自衛隊の武器使用が拡大。武器使用で死のリスクも増し、「捨て駒にされる」と隊員らは訴える。
・「派遣前に精神面で問題なしとして選抜された隊員がこれほど自殺しているというのは、かなり高い数字。しかも、これは氷山の一角で、自殺にいたらないまでも、精神面で問題を抱えている隊員が多くいるはず」
・(イラク南部の都市サマワで、給水や学校、道路の補修などを行う隊員たちを守る仕事をし、帰国後自殺した)中隊長の部隊はロケット弾、迫撃砲などの攻撃を数回受けたほか、市街地を車両で移動中、部下の隊員が米兵から誤射されそうになったこともあったという。

【読書ノート】『帰還兵はなぜ自殺するか』---「脳損傷」で論点整理。

【読書ノート】『帰還兵はなぜ自殺するか』---即席爆発装置IEDによる外傷性脳損傷TBIについて論点整理しました。
注意:文中の四角いフレームは、『帰還兵はなぜ自殺するのか-亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ-デイヴィッド・フィンケルからの引用です

アメリカでは、イラク戦争に派遣された兵士の帰国後の「自殺」の多さが問題になっています。戦地での戦死者よりも本国での自殺者の方が多くなってしまったのです。さらに、自殺未遂者の数は自殺者の10倍もいるといわれており、アメリカは全国30数ヵ所以上に帰還兵向けの医療施設を作り、自殺の恐れのあるハイリスクの患者に対し懸命な治療を試みています。
(医療プログラムの施設に持ち込み禁止のもの)
武器ならびに武器として使用可能なもの。カミソリ、ハンガー、ネクタイ、スカーフ、ベルト、靴紐、スウェットパンツの腰ひも、麻ひも、鎖、60㎝より長い首かけチェーン、ストッキングもしくは長い靴下、ガラス製品、電気コード、鋭利なもの、あらゆるタイプのビニール袋。 ---『帰還兵はなぜ自殺するか』より

イラク・アフガニスタン戦争から生きて帰還した兵士の20~30%が心的外傷後ストレス障害や外傷性脳損傷を負っている、という報告もあります。戦地で兵士が遭遇する「見えない敵、即席爆弾装置 IED」と、戦地から無事に戻ってきた兵士を苦しめる「外傷性脳損傷 TBI」について調べてみました。

【読書ノート】『帰還兵はなぜ自殺するか』
即席爆発装置IEDによる外傷性脳損傷TBIの観点から


YouTube「道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発し・・・」
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YouTube「イラク戦争 アメリカ軍装甲車を襲うIED(路肩爆弾)」
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イラク駐留の米軍の戦死者の大半が、戦闘ではなく、IED攻撃によって死亡
「対テロ戦争」では、戦闘地域で敵と対峙して砲撃や爆撃によって死傷するだけでなく、一般車両も通行している一見普通の道路を移動中に、路肩爆弾の爆発にあって死傷することも多いのです。そして派遣される兵士の約2割が即席爆弾(IED)に被弾して、外傷性脳損傷(TBI)を発症する可能性があるといわれています。

路肩爆弾、IEDとは
・即席爆弾装置 Improvised Explosive Device, IED
・ありあわせの爆発物(不発弾など)と日常品で作る、起爆装置付きの手製爆弾。
・道路わきなどに仕掛けられたものは「路肩爆弾」と呼ばれる。
・起爆手段は、ワイヤー接触、リモコンや携帯電話による遠隔操作、時間差など。
・小さな手りゅう弾レベルから、装甲車両や戦車を破壊できる大規模のものまである。
・超音速(340m/秒)の爆風を生じる。

前線でドンパチ、は昔のこと。今は「見えない敵」がしかけた「見えない武器」を相手に、兵士はハイテク化した防護服で戦います。進化した防護服のおかげで、爆弾で吹き飛ばされても「死なない」ばかりか、体は無傷でいられるケースが増えたのです。しかし・・・。

TBI、爆風による脳損傷の症状
・外傷性脳損傷(Traumatic brain injury,TBI)は、頭部に物理的な衝撃が加わることで起こる脳損傷。
・爆風による衝撃波が原因で、外傷がないにもかかわらず、脳幹に損傷を受ける。
・著しい記憶障害、めまい、頭痛、集中力低下、人格形成やコミュニケーション能力に問題。
・社会適応性が失われ、通常の生活が送れなくなる人もいる。
・医学的データがなく、脳損傷のメカニズムも不明。
・外見上、健常人と変わらない。診断が難しい。
・脳機能の回復にはリハビリが必要。治療が遅れると症状が固定化する。

重くて硬いヘルメットはIED爆風の圧力を増幅させ、外傷性脳損傷を悪化させますが、
現地での診断は難しく、また外見上無傷なので、
兵士は十分な治療を受けることもなく、すぐに部隊に復帰します。

繰り返し
・イラクでは負傷兵の半数以上が72時間以内に部隊に復帰している。
・その結果、一人の兵士が繰り返し爆風にさらされるようになった。
・十分な治療を受けずに繰り返し爆風にさらされると、TBIの症状を固定化させやすい。

(イラク、アフガンにおいて)
一人の兵士は年に200回以上のパトロールに出て、
平均12~15回のIED攻撃にあった。


先のYouTubeにあったような爆発が、目の前の車両で起きるのを目撃し、そして自分自身もまきこまれることを体験し、対策もなく同じ移動任務を毎日続ける、これがPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こす要因になっていたのですね。職業軍人はそれが仕事とはいえ、あまりにも過酷すぎます。

TBIによる戦線離脱、兵士の心理
●兵士は、脳損傷により壊れ続けているのに、助けを求めるのは不名誉なことだと思って助けを求めません。
●五体満足なのに、傷を負っていると言えるのか。おそらく弱い男だからだ。女々しいからだ。意気地なし、クソだからだ。こうした考えが押し寄せてきて止める手立てがない。
●目に見えるケガを負った兵士たち、銃痕のある兵士や手足のない兵士たちは英雄扱いされる。(一方、俺は)戦争から戻った立派な兵士。はずかしかった。彼女(妻)がどう思うか怖かった。
●戦地でそれ以上働けなくなった兵士は、「死傷者」用のヘリコプターで本国に輸送され、家族のもとに返される。
●妻は、夫が戦場に行っている間に家を購入。陸軍に入隊すれば手に入れられる生活・・・家、子供、犬、庭、金、安定した将来。病んで帰還したため、そのような生活は続けられなくなる。
●経済的に困窮、家も手放す。精神をわずらい、自殺を図り、人間関係を悪化させる夫の世話をしながら働かざるを得ない妻。こんなはずではなかった、五体満足なのになぜ帰ってきたの・・・。妻の側も心を病む。 /font>

失業、離婚、飲酒、ひきこもり、繰り返される自殺未遂、自殺。

PTSDの発症
イラク戦争で最悪なことの一つが、明確な前線がなかったこと。360度のあらゆる場所が戦場だった。進むべき前線もなければ軍服姿の敵もおらず、予想できるパターンもなければ、安心できる場所もなかった。兵士の中に頭がおかしくなるものが出たのはそのせいだ。
戦争中の任務は、道端に隠されている爆弾を見つけること。爆弾はいたるところで爆発する。まだ爆弾が見える、しょっちゅう爆弾が見える。これを止めてくれ、爆弾を向こうへやってくれ、もう見たくない、どうすれば爆弾を見なくなるんだ。
ハンヴィー(高機動多用途装輪車両)が砲弾の上を走って、そいつがどんぴしゃで爆発した。彼は車ごと持ちあげられ、下に叩きつけられた。爆風が音速より早く彼の体を貫いたとき、彼の脳はぐらぐら揺れた。そうしてこうなった。記憶、注意力、バランス、聴力、衝動抑 制、認知力、夢、すべてがぶっ壊れた。


日本と自衛隊について考えてみました:

安保法により、日本の自衛隊は米軍の後方支援として、武器等防護や捜索救助活動を行うことになりました。
PKOの安全確保業務(駆けつけ警護)では、住民や建物などの安全確保、特定の区域の保安のための監視・駐留・巡回・検問および警護を行います。

政府当局と反政府ゲリラ、体制派と反体制派が争う現場では、武装勢力と民間人の区別がつきません。
幼児、女性、老人、犬でさえも爆弾をもっているかもしれず、無人でもあらゆる場所に地雷や遠隔操作される爆弾が隠されているかもしれません

捜索救助活動を行う「衛生兵」は、国際法(ジュネーブ条約)で、敵から攻撃されないきまりになっています。しかし、道路に仕掛けられた爆弾は、衛生兵の車や人に対しても無差別に襲い掛かってくるでしょう。そういう恐怖と戦いながら、まさにそういう爆弾によって死傷した兵士の遺体や負傷者を回収するために、自衛隊員は戦闘地域に捜索に行くのです。

参照:安保法案の論点整理【衆議院】捜索救難活動
参照:安保法案の論点整理【参議院】イラク市民の犠牲

国会では、憲法がどう、国会承認がどう、ということばかり議論され、戦争の実態については、
他国がふつうにやっていること
だから、と問題になりません。

しかし、戦地に派遣される自衛隊員、その家族、その友達、民間徴用される立場にある職業の人たちは、自分たちがどこに派遣され、どんな活動をし、どんなリスクがあるかに、少しは関心を持った方がいいと思います。

生命にかかわることです。「死ぬ気になれば」派遣命令を断って、仕事をなげうって、自衛隊から抜け出すこともできるはずです。憲法18条「意に反する苦役の禁止」が、脱退の正当な根拠となります。

「生まれ変わった」つもりになれば、どんな仕事でも一からやり直しができます。国や組織や制度に流されず、面倒だからと思考停止せず、自分を保ち、未来を信じて、最善の決断をしてほしいと思います。身の振り方について、いろいろ考えたくないから軍隊が性に合っている、という人もいます。それはそれとしても、戦地への派遣となったら再度考えてほしいのです。
つまりは、「自分の身は自分で守る」ということです。

参考:国会審議の論点整理赤字は政府側答弁)

柿沢(維新):イラク戦争終結後の米軍の治安維持活動および非戦闘行為に従事したアメリカ兵は、民間人を装った自爆テロや、車に仕掛けられた爆弾、輸送中のヘリの撃墜な どの犠牲になって、930人が命を落としています。これは、イラク戦争の戦闘で死亡した139人を大きく上回る数字です。いつ、どこで狙われるかわからない不安の中で、自殺したり精神的な疾患になった米兵はさらに多いです。アフガニスタンの国際治安支援部隊の活動で、治安維持活動等に当たったドイツ軍やイ タリア軍の兵士の犠牲者が数百人規模に上っています。自爆テロやあるいは車爆弾、また輸送中のヘリの撃墜、こうしたリスクを伴う治安維持活動に自衛隊を派遣し得るようにするのが今回の安保法制です。これのどこが自衛隊のリスクは増大しないということになるんですか。
中谷防衛大臣:今回は新たな任務として、確かに(リスクが)ふえる部分がございますが、これにおいても安全についての規定なども設けておりまして、実際やるかやらないか、 この段階で本当にやって大丈夫なのか、そしてそれが任務達成できるのか、そういうのを判断して実施するわけでございますので、リスクに対しましても十二分に配慮をしながらやっていくということでございます。
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小池(共産党):対テロ戦争の現場では銃撃戦よりもIEDなどによる犠牲者が圧倒的に多い。サモワでもIEDを見たという話だ。非戦闘地域でもIED攻撃はある。物資輸送中にIEDで吹き飛ばされる。あらゆる場所が一瞬で戦闘現場になる。安全な場所で行うから大丈夫だなど言えない。
総理:安全確保は、一人も死傷者ができなかった過去と同じようにおこなう。
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初鹿(維新):派遣された自衛隊員が今まで以上に厳しい現場を見るわけですよね。目の前で人が殺される、場合によっては自分が武力攻撃をして相手を殺すこともあり得る、そういう行動をこれから自衛隊員にしてもらおうというのがこの法案なわけです。帰還した自衛隊員がPTSDを発症する、もしくはその結果として自殺をする、その可能性が高まるんじゃないですか。派遣をされている間にメンタル上の問題が生じた隊員は帰還(帰国)をさせますか。
中谷防衛大臣:メンタルヘルスケアについては十分留意をして実施させます。
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非戦闘現場であれば支援が可能なんだということになりつつあるようですけれども、非戦闘現場というものが突如として戦闘現場になるということもあり得るこ とも考えられますし、従来のようにあらかじめ安全な実施区域を定めておくという制度に比べて、日本が戦闘に巻き込まれていく、そういう危険性というものが かなり大きくなってきているのではないか、ここは危惧されるところであります。(7/6、落合、参考人質疑)

(政府)新法では、自衛隊の活動範囲が拡大し、戦闘行為と一体不可分である兵站活動、米軍の武器等防護、他国領域内での敵基地攻撃が可能となる。

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(政府)捜索救助活動は人道的な活動である。遭難者が見つかった、救助にもう当たっているなどの救助活動を行っている現場が、戦闘現場であっても(になっても)救助を継続できる。


参考:
太字のリンクはぜひ一読をおススメします。

◆Amazon書店『帰還兵はなぜ自殺するのか、デイヴィッド・フィンケル (著), 古屋 美登里 (翻訳)』
◆生き残った帰還兵と家族の“その後”を追った『帰還兵はなぜ自殺するのか』の書評
◆on the front line in the war on terror/移動支援フォーラム
◆ウィキペディア即席爆発装置
◆ウィキペディア 外傷性脳損傷
◆「捜索救助活動」のグローバル化――「周辺」と「後方地域」が外れた効果
◆安保法案の論点整理【衆議院】  
◆安保法案の論点整理【参議院】 

◆【読書ノート】天皇による戦後処理

ロシアでレーニンが共産革命を起こしたときに、ロマノフ王朝(ロシア皇族)が惨殺されたので、昭和天皇とその側近たちは、敗戦後に日本で共産革命が起きることを、なによりも恐れていた。
日本が破れて焦土と化しても天皇制は存続できるが、共産革命となれば皇族が処刑されるおそれがあるからだ。

「原爆投下」や「東京大空襲」、アメリカ軍による日本本土攻撃では敗戦を決意しなかった天皇も、「ソ連参戦」の一報を聞いて、大慌てで降伏(ポツダム宣言受諾)を決断した。

「天皇の戦争責任」が問われて戦犯ともども天皇が処刑される恐れはあったが、その場合は最悪でも昭和天皇一人の処刑ですみ、皇室は維持できる。


しかし、ソ連軍侵攻や共産革命が起きれば、天皇一族が処刑され、天皇制廃止の恐れもあった。
天皇と華族出身政治家たちが、どれほどソ連と共産主義者を嫌ったか、想像に難くない。

天皇制を守ってもらうために、昭和天皇は政府を通さずに直接アメリカ当局に働きかけて、「日本国は防衛のために日本国内にアメリカ軍隊を維持することを希望する」と伝え【■昭和天皇の沖縄メッセージ】、「内政干渉」の非難をかわすために「日米安保は日本を守る」というファンタジー(虚構)を国民に信じさせる、という策を練ったようだ。

実際、日本国民は「日米安保は日本を守る」「天皇は平和の象徴」というファンタジー(虚構)を信じて、幸せな戦後70年を過ごしてきた。


しかし現在、
ソ連が消滅し、アメリカは「日本のために血を流さない」と言い、在日米軍が日本人の人権を侵害し、アメリカ公文書記録や昭和天皇語録から戦後処理過程の真実が明らかになり、
日本の国内法よりも日本国憲法よりも「日米地位協定(占領下の行政協定と同じ内容)」が上位にあるという、独立国家としてあるまじき状態が明らかになった。
■アーミテージ・ナイ・レポート---日本の利害の保護を必要とする最も深刻な条件の下で、我々の軍隊は日本の集団的防衛を法的に禁じられている。】



【国会議員は必ず読むべし!こういう情報は新聞やTVには出ないが、無知のままの国政議論は不毛。】
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参考ブログ「本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」
参考ブログ『日本はなぜ、「原発」と「基地」を止められないのか』 書評

戦後の原点に戻って考え直す時期にきているのは確かだが、
それが、今の政権が進める、国民の権利を抑制した再軍備の方向というのは時代錯誤もはなはだしい。

「民主主義」「社会(共産)主義」は単に制度の違いであり、どちらが良い/悪い、というものではなく、現に今も、資本主義国も社会主義国があり、お互いに尊重し合い共存している。
体制派/反体制派に分かれて内戦が起きる場合、「体制派が正義で、反体制派が悪だ」とは一概に言えない。
体制派のやり方に問題があるから、反体制派が生まれる、と考えれば、体制派こそが諸悪の根源だ。だから「革命」は悪い言葉ではなく、進歩的なことと考えられている。


戦後の日本では、天皇制擁護のために、皇族と政府が一丸となっ て、職権を乱用して国民を巻き込んで、共産主義者を弾圧した。しかし今は、「天皇の地位」は憲法に規定されているのだから、存続を危ぶんで「共産党アレルギー」で騒ぐ必要はない。

今となっては、「共産党アレルギー」が何に対するアレルギーなのかさえわからない。
■しんぶん赤旗より 「共産党アレルギー」どう考える

日本共産党が綱領で掲げている民主主義革命は、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配を打ちやぶり、日本の真の独立と政治、経済、社会の民主的改革をめざすもの。
このことに共感する国民は多いのではないかと思う。

憲法を改正して、憲法の基本原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)を真逆のものにしようとする、政権と自民党の方針こそが、改悪をもたらす「怖い革命」だ。

■安保法案の論点整理【衆議院】
■安保法案の論点整理【参議院】
■補正予算案の論点整理【国会ウォッチ】
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プロフィール

anporonten

Author:anporonten
秋田県横手市在住の一市民です。
私は、「平和安全法制」の法案に関する国会の審議記録を精査し、論点と問題点を整理し、「安保法案の論点整理」のホームページで発表しました。その後、2015年度補正予算案の審議、2016年度通常国会の審議と追跡を続けています。

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